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布施を受ける心がけ

      2017/03/27


 これは道元禅師のお話しですが、

 北条時頼公は道元禅師を大変信頼し師匠として迎えようとしました。京都の建仁寺のような立派な禅寺を鎌倉に建てて、道元禅師を迎えたいと道元禅師に申し出ましたが、禅師は丁重にその申し出を断って永平寺に戻られました。

 時頼公は道元禅師をあきらめきれず、広大な土地を寄進する代わりに鎌倉にも法を説きに来て欲しいという内容の『寄進状』を用意し、鎌倉に残っていた道元禅師の弟子である玄明げんみょう和尚に持たせました。

 玄明和尚は永平寺に到着すると、喜びのあまり、大きな声で「鎌倉執権北条時頼さまからの寄進だぞ」と言いふらしながら道元禅師の部屋に行き寄進状を呈しました。

 道元禅師の顔色は一変し、
「おまえの心はいやしい。私が鎌倉を去って永平寺に戻った理由がわからんのか。利欲に走っては仏法はない。この清らかな道場を汚したお前を許すわけには行かない、欲しければその寄進はお前が受けたらよい」と、玄明和尚を即刻破門になされました。

 この時、玄明和尚のいたところを汚らわしいと土まで掘られたという話が残っています。
いささか厳しい話ですが、同じ仏法者として名利にかまけることが如何に仏教では不要なものか理解すべきだと思っています。

 浄土真宗であっても、布施を受けるものの心がけはこうあるべきだと思います。
思えば、これとは正反対な教えを受けたものです。


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