父母恩重経の十種の恩
2017/04/12
最近、子供が生まれて、しかも今遠方で暮らしているということで、本当に心配になりますね。
父母恩重経に父母の大恩十種というのがありました。昔よく聞かされましたね。
一には、懐胎守護の恩
悲母、子を胎めば、十月の間に、血を分け、肉を頒ちて、身、重病を感ず。子の身体、これによりて成就す。
二には、臨産受苦の恩
月満ち、とき到(いた)れば、業風催促して、*(偏のぎょうにんべん)身疼痛(へんしんとうつう)し、骨節解体して、神心悩乱し、忽然(こつねん)として、身を亡ぼす。
三には、生子忘憂の恩
もしそれ平安なれば、なお蘇生し、来たるがごとく、子の声を発するを聞けば、己(おの)も生まれ出でたるが如し。
四には、乳哺養育の恩
その初めて生みしときには、母の顔(かんばせ)、花のごとくなりしに、子を養うこと数年なれば、容貌(かたち)すなわち憔悴(しょうすい)す。
五には、廻乾就湿の恩
水のごとき霜の夜にも、氷のごとき雪の暁にも、乾ける処(ところ)に子を廻(まわ)し、湿(しめ)れる処に己(おの)れ臥(ふ)す。
六には、洗灌不浄の恩
子、己(おの)が、懐(ふところ)に不浄を漏(も)らし、あるいは、その着物に尿(いばり)するも、手づから自(みずか)ら洗いい灌(そそ)ぎて、臭穢(しゅうえ)を厭(いと)うことなし。
七には、嚥苦吐甘の恩
食味を口に含みて、これを子に哺(ふく)むるにあたりては、苦き物は自(みずか)ら飲み、甘き物は吐きて与う。
八には、為造悪業の恩
もしそれ子のために、止むをえざることあれば、躬(み)づから悪業を造りて、悪道に墜つることを甘んず。
九には、遠行憶念(おんぎょうおくねん)の恩
もし子、遠く行けば、帰りてその面(おもて)を見るまで、出でても入りてもこれを憶(おも)い、寝ても覚めても、これを憂う。
十には、究竟憐愍の恩
おのれ生きている間は、子の身に代わらんことを思い、己(おの)れ死にさりて後は、子の身を護(まも)らんことを願う。
昔はそんなものかと聞いていた内容が本当にそのとおりだな~と思い知らされますね。
特に遠行憶念はそのとおりで朝に昼に夜にどうだろうと思っているな~。
倒れて頭打ってないかとか心配になってしまう。
本経は偽経であると言われており、現在の中国ではあまり流布していないようです。
ただし、その内容自体を否定する必要はありません。
仏教第一
親に孝行
人には親切
(稲垣瑞劔先生)