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お斎(とき)について

      2017/03/01


 仏教の葬式や法事などの食事をよく「おとき」といいます。

 何故このように言うのかご存じでしょうか。実は、これは八斎戒というところから来ています。

 八斎戒を守る在家信者は、聴聞したり布施をする日など月に6回ある六斎日に八斎戒を守っておりました。八斎戒とは、五戒(不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不飲酒)に次ぎの三つを加えた戒律になります。不邪淫(自分の妻または夫以外の人と交わってはいけない)は代わりに八斎戒の日は、不淫戒として守ることになっていました。

  • あらゆる性行為を行わない(不淫戒)
  • 歌舞音曲を見たり聞いたりせず、装飾品、化粧・香水など身を飾るものを使用しない
  • 天蓋付きで足の高いベッドに寝ない
  • 正午以降は食事をしない

 この中で、特に八斎戒は、正午以後に食事をしないという戒律が中心的役割をしたものですから、後にこの部分から、斎戒を行ずるという意味で、食事を取るというように変化して行ったのです。ですから、おときは、お昼の食事をあらわしているのですが、斎と書いて「とき」と読むあたり意味深く感じますね。

 時々、先生がお経を読んだ感想を話されていたことがありまして、この食事の話が時々出てきてこともありました。「夜食事をするというのはちょうど獣のようなものだと書いてあったな~、夜ちょっと夜食にカップヌードルを食べている人は、少し考えなされ」と、懐かしい話です。

 そう言えば、これを書いて思い出しましたが、歌舞音曲を先生はかなり嫌われました。よく歌舞音曲を仏教では大変嫌っていると説明されました。私も歌舞音曲に心を奪われることが多く、無常を忘れてしまう大きな障害の一つということが言えるかもしれません。


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